Milt Hinton
Miroslav Vitouš
Niels-Henning Ørsted Pedersen
Orlando le Fleming
Oscar Pettiford
Paul Chambers
Percy Heath
Peter Washington


Milt Hinton

 

ジャズベースの歴史を作ったベーシストの内の一人。アメリカミシシッピー州生まれ。。13歳でヴァイオリンをはじめ、ハイ・スクールでベースを習得する。30年代に入るとプロとして活動を開始し、キャブ・キャロウェイ、ルイ・アームストロング、アート・テイタム、ディジー・ガレスピー、ベニー・カーター、コールマン・ホーキンス、ベン・ウエブスターらと共演。他にもポール・アンカ、アレサ・フランクリン、 ビリー・ホリデイ、ポール・マッカートニー、フランク・シナトラ、サム・クック、バーブラ・ストライサンド、ベニー・グッドマン 、 ジョニー・ハートマン 、 ディック・ハイマン 、 レッド・ノーボ 、 テディ・ウィルソンなど巨匠ばかり。演奏家としてだけではなく、教育者としても尽力し、ジャズ界の発展に貢献している。

 

太い音、グルーブするライン。スラップ奏法(弦を叩く)で有名。4ビートのラインもシンプルだが、グルーブ感は強力。説得力のあるプレイは、ベーシストの中のベーシストと言える。


Miroslav Vitouš

 

チェコスロバキア生まれ。超絶ベーシスト。6歳からヴァイオリン、10歳からはピアノ、そして14歳からはコントラバスを本格的に習い始め、当時チェコ・フィルハーモニー管弦楽団の著名なコントラバス奏者に師事。その後、ジャズに傾倒し、1966年にウィーンで開かれた国際ジャズ・コンクールのベース部門において優勝。(その時の2位はジョージ・ムラーツ)アメリカ合衆国に渡った後、チック・コリアのアルバム『ナウ・ヒー・シングズ、ナウ・ヒー・ソブズ』に参加し有名になる。その後、マイルス・デイヴィスのバンドにも参加。1970年にウェイン・ショーター、ジョー・ザビヌルとウェザー・リポートを結成。後期ではヘッドホンを付けて演奏している。

 

エレキとウッド両方弾くが、ウッドがメイン。超絶ベーシスト。弦高が低いせいもあり、音色はやや電気的な音。正確かつ超絶なプレイスタイルは唯一無二。ソロは自身の歌い方が確立されており、手癖フレーズなどはなく即興性重視なフレージング。


Niels-Henning Ørsted Pedersen

 

フレーズ難易度:

 

デンマーク出身、超絶ベーシスト。ケニー・ドリュー、ジョー・パスとの演奏が有名。他にもビル・エヴァンス、バド・パウエル、カウント・ベイシー、ディジー・ガレスピー、ソニー・ロリンズ、オスカー・ピーターソン、デクスター・ゴードン、スタン・ゲッツ、トゥーツ・シールマンスと共演者も超豪華。弓も素晴らしい。全盛期のピッチの良さは異常。音色の好みはわかれるが、技術と即興能力の高さは当時のベーシストの中でも随一。

 

プレイスタイルは、左手が4フィンガー、右手が3フィンガーのスタイル。速いフレーズも難なく弾きこなす。粒が揃ったフレージングが特徴。音色より演奏性を重視したセッティング。正確でグルーブするウォーキング。歌うフレージングと早いフレーズを織り交ぜたソロは一聴の価値あり。

 

譜面は、ソロの2コーラス目の途中から。よく使うフレーズ。G7はオルタードスケールのフレージング。C7はコードトーンで上昇して、その後、ミクソリディアンスケールで弾いている。レイブラウンとの対比も面白い。何より、デュオなのに安定したグルーブ感が素晴らしい。


 

Orlando le Fleming

 

フレーズ難易度:

 

イギリス出身。音楽一家の環境で育つが、最初に彼が目指したのはプロのクリケットの選手であった。

ロンドンで活動を始め、間もなくイギリスで最も傑出したベーシストとして評判をよび、ヨーロッパを代表するミュージシャンとツアーやレコーディングを重ねる。その後、アメリカから訪れたビル・チャーラップ、アート・ファーマー、ジョージ・コールマン、ディーブ・リーブマン、ジョーイ・カルデラッツォ、ブランフォード・マルサリスらのツアーに参加。

2003年にニューヨークへ移住、ビリー・コブハム、ジミー・コブ、シーマス・ブレイク、アリ・ホーニッグ、ウィル・ヴィンソン、ジョーイ・カルデラッツオ、ジェフ・”ティン”・ワッツ、ラーゲ・ルンド、ギラッド・ヘクセルマン、シャイ・マエストロ等と共演。

 

プレイスタイルは、オーソドックスなスタイル。癖のあるフレーズはほとんどなく、正確かつ端正に弾く。変拍子も得意。存在感があり、いい意味でベーシスト的な役割を果たしているベーシスト。

 

譜面は、ソロの冒頭から。ドラムがいない事、テンポが速い事もあり、グルーブ感重視のフレージングになっている。コードトーンに忠実でありながら、リズミックなアプローチになっている。コードトーンでのソロの組み立て方の参考になるフレーズ。


Oscar Pettiford

 

ジャズジャイアントの一人。オクラホマ州出身。12歳でピアノ、14歳でダブルベースを始める。1942年、Charlie Barnetバンドに加入、1943年、コールマン・ホーキンス、アール・ハインズやベン・ウェブスターとも録音。その後、ディジー・ガレスピー、デューク・エリントン楽団、ウディー・ハーマン楽団など渡り歩く。キャノンボール・アダレイを発掘。チェロでジャズを弾くというスタイルを初めて行った人でも有名。ビバップを基調としたソロは素晴らしく、現代のジャズベースのソロの発展に貢献した人物でもある。

 

タイトで適度に太い音色。ビバップで歌心あるフレーズ。この時代でこのレベルのベースソロを弾けるのは衝撃だったはず。速いフレーズもなんなく弾きこなす。4ビートは少しプッシュ気味で心地よいグルーブ感が持ち味。


Paul Chambers

 

フレーズ難易度:

 

Ray Brownと人気を二分するジャズベーシスト。マイルス・デイヴィスのレギュラー・バンドに抜擢。その後、ウィントン・ケリー、ジョン・コルトレーン、ソニー・ロリンズ、バド・パウエル、キャノンボール・アダレイレッド・ガーランド、ドナルド・バード、フレディ・ハバード、ジャッキー・マクリーンなど多くのミュージシャンとレコーディングを行う。弓弾きによるソロは有名(ゲコゲコ音)。ベースソロや4ビートのラインのお手本となるようなプレイは秀逸。

 

プレイスタイルは、指弾きと弓弾き。前すぎず、後過ぎずちょうどいいバランスのプレイ。ソロもビバップを基調として歌うようなフレーズ。ジャズを志すなら必ず学ぶべき人物。

 

譜面はソロの中盤のフレーズ。Fm7ーBb7の2-5フレーズ。Bb7一発という解釈もできるし、Fm13的な解釈も可能。ルートから始まらないフレーズでホーン的なソロなので、非常に参考になる。このようなフレーズは比較的多用している。


Percy Heath

 

MJQのベーシストと言えばこの方。ノースカロライナ州出身。8歳でバイオリンを始める。1944年には軍隊に入隊する。除隊後、グラノフ音楽学校に入学し、まもなくジャズクラブで演奏を始める。その後、ニューヨークに移住し、ジミー・ヒースと共にディジー・ガレスピーのビッグバンドに参加。このビッグバンドのメンバーだった、ジョン・ルイス、ケニー・クラーク、ミルト・ジャクソンと共にMJQ(モダン・ジャズ・カルテット)を結成する。兄弟にジミー・ヒース、アルバート・ヒースがいる。

 

プレイスタイルは、THEベーシスト。無駄な音がない。的確かつ安定感抜群のプレイは、ベースシストの教科書的な存在。


Peter Washington

 

フレーズ難易度:

 

NYでファーストコールになるほど人気のあるベーシスト。ロサンゼルス生まれ。1987年にアート・ブレイキーのジャズメッセンジャーズに23歳の若さで登用され注目を浴びる。共演者は、エリック・アレクサンダー、ケニー・バロン、ケニー・バレル、ドナルドバード、ビル・チャーラップ、ビリー・ドラモンド、ディジー・ギレスピー、ベニー・ゴルソン、ベニーグリーン、スコット・ハミルトン、トム・ハレル、デビット・ヘイゼルタイン、ボビー・ハッチャーソン、トミー・フラナガン、リー・コニッツ、マルグルーミラー、ラルフ・ムーア、ルイス・ナッシュ、テレル・スタッフォード、グラント・スチュワート、ルー・タバキン、シダー・ウォルトンなど豪華。ドラムのケニー・ワシントンとの演奏は素晴らしい。(血縁ではないとのこと)

 

レイブラウン直系のスタイルで、ワンフィンガーピッキング。音色はサスティーンが長く、重厚。ややプッシュ気味のグルーブ感が強烈。安定感、ピッチの良さ、ソロの歌いまわしの上手さ、どれをとってもレベルが高い。

 

譜面は、1曲目4ビートに入ってから。コードトーン以外の音の入れ方が非常にうまい。流れに沿ったラインの構築の参考になるフレージング。1拍目はルート以外で入るパターンも多く面白いラインになっている。基本は抑えつつ遊び心が満載のウォーキングは彼独特の個性あふれるプレイになっている。